2024年3月5日にジェンダーダイバーシティプロジェクトと気候変動プロジェクトの一環として、若者アンバサダーが積水化学工業株式会社を訪問しました。社会課題解決への貢献度が高いサステナビリティ貢献製品の創出やエネルギー調達革新など、2030年カーボンハーフに向けた取り組みやビジョンについて意見交換を実施しました。また同社のダイバーシティー&インクルージョン推進において重要視しているポイントについても様々な視点から意見を交わしました。
■レクチャーレポート
1.女性活躍
- 「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」という考え方に基づき、人的資本戦略である「挑戦する風土の醸成」「適所適材の実現」「ダイバーシティの実現」により「戦略的創造」と「現有事業強化」の実現を目指している。
- 最適人材の発掘と抜擢、多様な人材の獲得と定着、事業を支える挑戦人材の育成を重要課題とし、2023年から2025年の3年間に120億円の投資を実施。
- 2014年から、基幹職登用が期待される女性従業員とその上司のマネジメント力の向上に向けた研修(キャリアディベロップメントプログラム[CDP])を継続して実施している。
- ライフイベントとキャリアの両立に向け女性従業員を対象に「女性キャリアセミナー」を実施。セミナーを通じて、ライフイベントの悩みや情報を共有できる機会となっている。
- 新卒の女性採用比率は35%を目標に設定。20代の女性比率は3割まで向上した。
- 女性基幹職数は2025年に5%を目標としており、4.9%まで到達している。


2.環境問題への対策
- 企業が地球環境に及ぼすインパクトを「ライフサイクルアセスメント」という手法をもとに計算。
- ステークホルダーへの情報開示や対話を積極的に実施。
- 原料を購入するところから、モノづくりを行い顧客の元に届けるまでの段階で持続可能な社会に貢献する「サステナビリティ貢献製品制度」の実施。
- 製品、モノづくりプロセス内での環境負荷の低減、自然環境の保全(寄付などを含む)という3つに方法でリターンに貢献。
- エネルギー削減に加えて、再生可能エネルギーへの転換に注力。削減が難しい燃料由来のGHG削減も商品の生産プロセスを見直しながら実施。
- 工場や研究所でのGHG排出量を削減可能な設備の転換が加速するよう、インターナルカーボンプライシング制度ともいえる環境貢献投資促進策を実施。
- 制度は継続中だが、制度開始から3年間は売上の0.3%をこの環境貢献投資促進策に充てる。
- 設備更新によって削減したCO2の量に応じて本社の方から予算配分を事業・工場の方に付け替え。
- エネルギー調達革新:再エネへ転換した事業・工場に予算配分を付け替え。100%再エネ化した工場も出てきた。
3.感想
- 女性活躍を推進する方法として、女性社員同士のコミュニケーションを重要視しているのが特徴的だなと感じた。
- 説明の中で情報開示について言及があったが、実際に積水化学工業のHPから「サステナビリティレポート」を見ることができた。詳細な目標数値やGHG排出量の内訳なども見ることができ、こういった透明性がステークホルダーとの良好な関係を築く事に繋がっているのだと思った。
- エネルギー転換を社内で浸透させるために思い切った初期投資をしており、温室効果ガス削減にスピード感を持って取り組もうとしているのが伝わった。

【レポート執筆】
黒部睦/第1期若者アンバサダー
国⽴⾳楽⼤学卒業。Climate Justice Activist,Artivistとして活動中。