若者アンバサダーメンバーによるアイデア・シェアから生まれたイベント「弥生BioBlitz」。
2023年3月3日に開催した「DO!NUTS TOKYO」公開イベントゼロエミアクション・ムーブメントの拡大に向けた若者からの提案~若者アンバサダーと小池都知事とのトークイベント~の第1部 若者アンバサダーによる「アイデア・ピッチ大会」では、参加者投票により「みんなの応援賞」にも選ばれたアイデアです。
たくさんの方たちの応援とご支援を受け、実施につながったイベントです。
■弥生BioBlitz 開催レポート
1. 概要
2023年4月29日、東京都文京区にある東京大学弥生キャンパスにて市民参加型の生き物一斉調査イベント「弥生BioBlitz」を開催しました。
2020年をベースラインとして2030年までに自然の損失を食い止め回復させる「ネイチャーポジティブ」に世界が向かおうとしている一方、暮らしている地域の生き物であってもよく知らないというケースは珍しくないのではないかと思います。
そこで本企画では、学生や教職員のほか近隣の子どもや社会人も一緒に生き物を探して写真を撮り、プラットフォーム上で共有して生物多様性を可視化することで、生物多様性の保全と回復に取り組むための一歩を踏み出すことを目指しました。
2.開催の様子
当日は、子どもから大人まで学内外合わせて計40名ほどの方にご参加いただきました。
まずは、生物多様性条約第15回締約国会議に参加した学生や、小学校での環境教育などを行っているサークルの学生から、以下の内容について教室で簡単なレクチャーを行いました。
- 生物多様性・ネイチャーポジティブ
- 生物間相互作用・食物連鎖
- 生態系サービス
- 文京区や弥生キャンパスで見られる生き物

続いて調査場所に移動し、どんな生き物がいるかについて昆虫博士の学生からガイダンスを行った後、参加者それぞれで生き物を探して写真に収めました。終盤、子ども達からはまだやりたいという声も聞かれ、各々楽しんでもらえたようでした。


見つけたかを子ども達が教えに来てくれました
最後、教室に戻ってからは、iNaturalistというアプリに撮った写真をアップロードして分類群をつけました。みんなの観察記録が集まることで、どこにどんな生き物がいるのかが地図上にマッピングされ、以下のような結果が得られました。
- 東京大学のキャンパス全体の記録数は約250、生物種数は約70増加
- 弥生キャンパスでの記録数は約7倍(東京大学のキャンパス全体でみると約2倍)に増加
- 同定された生物種のうち植物は7種、動物は4種は研究用グレードに認定



3.感想
今回、主催側としては以下の目的を持って運営に臨み、IIとIIIは果たせた部分がありましたが、Iについてはこれから次第です。
- 弥生キャンパスにいる生き物を把握し、東大のネイチャーポジティブに役立てる
- 世界的な生物多様性の調査に一般市民を巻き込んで参画し、市民科学を推進する
- 非専門家の人々にも生き物を身近に感じてもらい、生物多様性に興味を持ってもらう
今後は、同様の調査イベントを他のキャンパスで行うほか、大学のネイチャーポジティブにどう役立てていけるかを具体的に検討し、ゆくゆくは生物多様性の戦略や行動計画に繋がるような活動にしていけたらと思います。
本企画は、2023年3月に開催されたDO!NUTS TOKYO公開イベントのアイデア・ピッチ大会に向けて構築し、様々な方のご支援とご協力のおかげで実現することができました。お世話になった学内外の皆さまに深く御礼申し上げます。
協力:東京大学One Earth Guardians育成プログラム
後援:DO!NUTS TOKYO・エコッツェリア協会

【レポート執筆】
山口 空さん/ 第2期若者アンバサダー
木や草などのバイオマスを分解する微生物の酵素を研究する大学院生。
生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)への参加をきっかけに、大学でNature Positive Universityプロジェクトを始動。