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DO!NUTS TOKYO事務局
2026年1月13日 12:15

東京都の林業視察レポート

2025年10月21日に東京都の林業視察を行いました。
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 本視察は、DO!NUTS TOKYO 若者アンバサダーによる林業に関するアイディア提案に向けて、実際の現場を自分たちの目で見ることを目的として実施されました。伐採から流通、造林までの一連の流れを体感しながら、東京都の林業が抱える課題や可能性について考える機会となりました。

林業視察を通して学んだことを、「ポイント」「サマリー」「感想」「同世代に伝えたい点」の4つに分けてお伝えします。

参加したアンバサダー

第1期アンバサダー
三浦 秀樹さん

第2期アンバサダー
佐々原 悠馬さん

第4期アンバサダー
島田 夢さん

■林業視察レポート

  • 木は「伐る」だけでなく、判断と管理が必要な資源
  • 林業の現場は、想像以上に危険と隣り合わせ
  • 木材の価値は、育てた時間に必ずしも比例しない
  • 技術の進化は進んでいるが、人の手は欠かせない
  • 林業は「自然が好き」だけでは続かない仕事でもある

今回の林業視察では、主伐現場、原木市場、間伐現場、保育現場を見学しました。実際の現場を見ることで、林業は単に木を伐る仕事ではなく、多くの判断や工程、そして長期的な管理によって成り立っている産業であることを実感しました。

特に印象的だった点は、以下の3点です。
・高性能機械の導入とその限界
・作業効率と安全性のバランス
・原木価格の低さと経営の厳しさ


【主伐現場】
主伐現場では、約5分に1本のペースで木が伐採され、専用機械によって搬出されていく様子を見学しました。次々と木が倒れていく光景は迫力がある一方で、実際に現場を歩くと危険だと感じる場面も多くありました。
 参加した佐々原さんは、「作業は効率的に見えるが、もっとスピードを上げようとすると危険が増すと聞き、現場の難しさを感じた」と話していました。また、伐採前には希少植物の有無を確認するなど、木を伐るまでに多くの判断が必要であることも印象に残りました。


【原木市場】
原木市場では、東京都で唯一の市場を見学しました。寸法や伐採地ごとに揃えられた丸太が整然と並ぶ様子は圧巻で、月2回の競りでほとんどの原木が売れると聞き、驚きました。一方で、50年かけて育てた木でも、思っている以上に安い価格で取引されていることに衝撃を受けました。三浦さんからは、「FSC認証が付いていても価格差があまりなく、きちんと管理している事業者に十分な評価が届いていないのではないか」という意見も出ました。また、伐採や間伐の際に発生する端材について、さらに活用の余地があるのではないかという声も上がりました。


【間伐現場】
 間伐現場では、東急建設様による取り組みを視察しました。高性能機械を活用した作業が行われており、約1億円規模の機械によって、作業効率が大きく向上している様子が印象的でした。急斜面での作業も多く、参加した三浦さんは「実際に現場を見ると、完全に自動化するのは難しそうだと感じた」と話していました。また、機械導入によって安全性が高まる一方で、導入コストが高く、すべての事業者が同様の設備を使えるわけではないという課題も見えてきました。現場の説明では、今後は若者を巻き込みながら、地元の林業事業者と連携して森づくりを進めていきたいという話もあり、民間企業が林業の現場に関わる意義を感じることができました。


【保育現場】
続いて、東京都が管理する保育現場を視察しました。現場を見て特に驚いたのは、東京都の広大な森の多くが、自然林ではなく植林によってつくられた森であるという点です。植林は木を植えて終わりではなく、その後も、シカを中心とした獣害対策、草刈り枝打ちなど長い時間と手間をかけた「保育」が必要であることを学びました。
 私は、多くの予算や人の手があって初めて維持できる森であり、それができない地域では森が荒れてしまう可能性があると感じました。したがって、持続可能な森林を維持するには、継続的な管理体制と資金が欠かせないことを実感しました。


 今回の視察を通して、林業は「自然の中で働く仕事」というイメージ以上に、危険管理、経済性、技術、人の判断が複雑に絡み合った仕事だと感じました。特に印象に残ったのは、木を伐った後も再造林や管理が続き、人の手が入り続けなければ森は維持できないという点です。一方で、現場を見ることで、林業が抱える課題の大きさと同時に、やりがいや可能性も感じることができました。

  • 木材は「自然にあるもの」ではなく、人が育て、管理してきた資源
  • 林業は体力だけでなく、判断力や技術も求められる仕事
  • 環境に良い取り組みが、必ずしも経済的に評価されているとは限らない
  • 現場を見ることで、イメージだけでは分からない課題に気づける

林業を「遠い世界の仕事」と捉えるのではなく、自分たちの暮らしとつながる産業として考えるきっかけになればと思います。

集合写真

○関連リンク


【レポート執筆】
島田夢さん第4期若者アンバサダー
社会課題や地域再生への関心から、デジタルと社会・地域の関係を軸に活動。大学ではDCと地域受容の関係を研究。学外では福島県の地域創生や環境再生に向けて取り組む。