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DO!NUTS TOKYO事務局
2021年9月21日 14:30

学びシリーズ第6回「家では何ができるか?そのリアリティ」小林光氏

2021年8月20日(金)に、「家では何ができるか?そのリアリティ」をテーマに第6回オンラインレクチャーを開催いたしました。
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若者アンバサダープログラムの学びシリーズ第6回目、今回はレクチャー動画と若者アンバサダーによるレポートをお届けします。

「学びシリーズ」は、DO!NUTS TOKYO公式アンバサダーの皆さんに向けて行われるレクチャーであり、若者アンバサダーとして活動を行っていただく上で参考になると思われる知識の習得や、ご自身の考えをより深めていただくことを目的としています。

第6回目は、2021年8月20日(金)に、サステナブルライフスタイルTOKYO実行委員会副委員長であり、東京大学教養学部客員教授小林光氏を講師にお迎えし、「家では何ができるか?そのリアリティ」をテーマに開催しました。
レクチャー後は振り返りとして、グループディスカッションを行い、活発な意見交換が行われました。

■レクチャー動画

■レクチャーレポート

1.ポイント

  • 2030年の温室効果ガス削減目標を達成するためには、家庭からのCO2排出量を66%削減することが不可欠。
  • 家のありとあらゆるものに対策を講じることが必要。
  • エコハウスや省エネによって、21年間でCO2排出量を約75%削減できた。
  • まず「省エネ」を徹底し、「再生可能エネルギー」で賄うようにするのが定石。
  • 自然から家に降り注がれるエネルギーは、結構豊富にある。
  • CO2­­排出量はかけ算で定義されるので、消費電力を減らすよりも削減しやすい。(CO2­­排出量 =[エネルギーの需要]×[供給されるエネルギーの炭素密度])
  • 個人のエコハウス化では不十分なので、お家が横につながり、近隣で協力して電力をシェアすることが現実的。

2.サマリー

1990年に公布された「地球温暖化防止行動計画」は、日本政府の最初の温暖化対策です。それから2年後の1992年には「国連気候変動枠組条約」がまとめられました。この条約で先進国は、CO2の排出量を2000年までに1990年の水準に戻す、という努力目標を掲げました。しかし、日本の排出量が減少し始めたのは2013年頃で、2018年にやっと1990年の排出量レベルを下回りました。日本政府は今の減少率のまま、2030年までにCO2排出量を46%削減し、2050年には実質ゼロにすることを目標としています。これを達成するためには、家庭から排出されるCO2を計算上66%減らす必要があります。

「皆が『環境ヲタク』になっても厳しい」と、小林光先生は言います。先生は1990年に、ご自宅をエコハウスに建て替え(通称「羽根木ハウス」)、この21年間で約75%のCO2排出量削減に成功しました。21年間エコハウスと省エネを徹底的に行った先生でも、エコハウスだけでは2030年の目標を到達することは難しいと感じているそうです。しかし、「やれることはある」と、30を超える羽根木ハウスでの取り組みの中から、効果を実感したものを教えてくださいました。キーワードは、「断熱」「省エネ」「自然」の3つです。

「断熱」
・真空ガラスに変更。
・床下に断熱材を敷設。
・ジャロジー窓を、二重のガラス窓に変更。

「省エネ」
・消費電力モニターである、home energy management system (HEMS)を導入し、発電・消費・買電を可視化。蓄積したデータを基に、対策を思考。
・家電買替え(特に削減率が大きかった家電: エアコン、冷蔵庫、食洗器、ウォシュレット)
・災害が起きたとき、冷蔵庫が停止しないように、蓄電池を導入。

「自然」
・北屋根に、2.3kW能力の太陽光パネルを設置。(発電量は6割)
・造園屋さんからいただいた薪(バイオマス)を一年乾燥させ、薪ストーブに使用。
・雨水利用

上記のようにエコハウスはCO2排出量を減らすだけでなく、お財布にやさしく、健康によく、防災性も高いので、どこをとってもいいことづくしです。しかし、個人がエコハウスにするだけでは、66%を削減することは困難です。近隣で、再生可能エネルギー起源の電力を共有することが、資源(パネル・蓄電池)の効率的、かつ現実的な利用方法だ、と先生は言います。まずは、自分の家をエコハウス化し、近くのお家と横につながりをもち、社会全体で地球温暖化対策を進めていくことが求められます。

3.感想

私がDO!NUTSTOKYOアンバサダープログラムに応募した理由は、消費者個人が行うゼロエミなどの気候変動への活動を「可視化(数値化)」し、「振り返り・改善」する社会を創りたかったからでした。小林先生が実施した、羽根木ハウスでの省エネや創エネの過程・結果・考察、そして今回の講義でのプレゼンという流れは、まさしく私が目指す科学者像であり、理想とする社会システムの一部です。今回本講義を拝聴できたことが本当に嬉しく思います。

小林先生の地球温暖化に向き合う姿勢がとても刺激的で、心を動かされたのと同時に、自分の行動力の無さと知識不足に失望感を抱きました。考えれば今の自分にできる、住宅での環境問題への対策方法はあるはずなのに、実家暮らしで両親の判断に甘えていることに気が付きました。また、住宅に限らず、自らが環境問題への対策を訴えるからには、まずは自分で行動を起こさないといけない、ことを改めて心に刻みました。

地球規模の問題は、今すぐ解決することは不可能です。だからこそ、自分ひとりではなく、皆で取り組むことが大切です。小林先生やDO!NUTSTOKYOプログラムで出会えた人々から、学び、自称「なのアクティビスト」らしく、できることから今すぐに始めていきたいです。

4.同世代に伝えたい点

  • まずは省エネ(必要なエネルギーを減らすこと)からはじめる。
  • データをとること、比較すること、可視化すること、の大切さ。
  • Sharing is caring! (Sharing energy allows us to care both people and the Earth.)
  • 「地球とつながる暮らしのデザイン」色んなご意見や取り組みが載っていて、面白いのでお勧めです。
  • 世の中を良いものに変える主人公に。


【講師】
小林光
サステナブルライフスタイルTOKYO実行委員会副委員長
東京大学教養学部客員教授
サステナブルビジネスウィメン顧問

慶應義塾大学経済学部卒業(経済地理学)。修士、博士は共に工学(東大都市工)。2009年~2011年まで環境事務次官を務め、環境と共生できる経済づくりやまちづくりを一貫して担当。人間社会と自然環境との関係の再構築に役割を果たしている。

【レポート執筆】
⼩堀菜花/第1期若者アンバサダー

東邦大学薬学部在学中。環境問題に興味を持ち始めたのは、小学校のとき先生に怒られたから。自称「なのアクティビスト」で、どんな小さいことでも、できることから始めています。


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