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DO!NUTS TOKYO事務局
2022年3月25日 14:30

学びシリーズ第11回「地域でSDGs・ゼロカーボンを実践し、世界につながる」

2021年10月22日(金)に、藤野純一氏を講師にお迎えし、「地域でSDGs・ゼロカーボンを実践し、世界につながる」をテーマに第11回オンラインレクチャーを開催いたしました。
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若者アンバサダープログラムの学びシリーズ第11回目のレポートです。

「学びシリーズ」は、DO!NUTS TOKYO公式アンバサダーの皆さんに向けて行われるレクチャーであり、若者アンバサダーとして活動を行っていただく上で参考になると思われる知識の習得や、ご自身の考えをより深めていただくことを目的としています。

第11回目は、2021年10月22日(金)に、DO!NUTS TOKYOのアドバイザーであり、公益財団法人地球環境戦略研究機関 サステイナビリティ統合センター プログラムディレクター/上席研究員の藤野純一氏を講師にお迎えし、「地域でSDGs・ゼロカーボンを実践し、世界につながる」をテーマに開催しました。
レクチャー後は振り返りとして、グループディスカッションを行い、活発な意見交換が行われました。

■レクチャーレポート

1.ポイント
  • SDGsを共通語として、地域社会、自治体、企業は世界と繋がる。
  • 事業や取り組みを通して対国や自治体レベルで垣根を超えたSDGsの施策案の情報共有が行われている。
  • 本講義では①東京とKL、②富山市とSDGs、③日本の中小企業の活躍、を事例として学んだ。
  • 地域や企業のSDGsの取り組みを、国内外に発信することの重要性!
  • 若者でも世界的な機関に対して発信が可能:国際的枠組みの策定に参与できるルールメーカーに!
2.サマリー

本講義は、SDGsを共通語として、日本の地域社会や企業がどのように取り組み、世界と繋がりを展開しているかについて学び、藤野様はそこで過去に従事・関与された3つの事例を紹介されました。

①東京都とマレーシア・クアラルンプール市(KL):ゼロエミッション都市の実現に向けて

東京都は2030年のカーボンハーフ実現に向け取り組んだ活動の一つである、世界初の都市でのキャップ&トレード制度(CAP)について、KLの当時市長アドバイザー(現KL市長)のマハディさんは着眼し、2019年に「東京都とKL市の低炭素システム(T2KLLCS: Tokyo to Kuala Lumpur Low Carbon System)」を立ち上げ、KLでの制度・仕組みの移転事業に着手しました。T2KLLCSの設立の背景には、KL市内の全GHG排出のうち49%が都市ビルに由来していたことや、市内約20%の建物のみで市内全エネルギー消費量の77%を占めていたこと、さらにそのエネルギー消費量の63%は空調機器に関与していたことなど、成熟したアジアの都市ならではの共通課題がありました。現在は、予算制約を考慮したデータ分析とシミュレーションを基に、2つのシナリオケースを試算しながら省エネ計画を実施し、さらなる展開・導入を検討しています。

シミュレーション分析によると、2050年で技術の組み合わせを適切に行うことでカーボンニュートラルに近しい社会を実現できることから、国際会議にてKLはゼロカーボン宣言を行いました。このような各アクターのゼロカーボン宣言は、COP26でのRace to Zero Campaign (RtZ)でも呼びかけられていて、現在非常に国際的に高まっている動きです。

②富山市とSDGs自発的自治体レビュー:地域社会での取組

富山市ではコンパクトシティ戦略をはじめとして、様々なSDGsを推進する取り組みを行い、世界に発信しています。富山市がコンパクトシティ戦略を着手したのは2008年。以前はスプロール(都心部から郊外へ無秩序、無計画に開発が拡散していく現象)に伴い、ごみ収集や雪の除雪、道路整備などの街の経営が成立しなくなることが課題でした。これに対し循環路面電車を設置することで、車がなくても住めるようなコンパクトな街づくりを目指し活動しました。その結果、人口の増加や女性高齢者の外出増加、自動車からのCO2排出の削減など、様々な社会的利益をもたらしました。この先進的な取り組みの様子は2018年にレポートとして発信され、国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF: High Level Political Forum)においては、自発的国家レビュー(VNR: Voluntary National Reviews)の中の一地域事例(VLRs: Voluntary Local Reviews)として掲載されました。HLPFではこのようにSDGsの進捗状況について毎年レビューを行い、2021年には42国がVNRsを提出しました。本年8月に行われたHLPFの閣僚級宣言の文言のなかにも、「VLRsは2030年アジェンダ及びSDGsの地域での実施を促進するための効果的な手段である」という主旨の文言が入りました。SDGsを地域化する戦略としてRtZによる宣言のムーブメントを促進することやVLRsの発信による具体的施策の伝播があるとまとめられました。

③太陽住建株式会社と国連・エネルギー・コンパクト:世界に繋がる

本年9月にNYの国連総会にて首脳級によるエネルギー・ハイレベル対話が開催され、そこでの一取り組みとしてエネルギー・コンパクトというプラットフォームが設けられました。ここでのコンパクトは「誓約・約束」を意味し、参加する各アクターはSDGsのゴールに向けてコミットメントを表明します。ここではそこで宣言をした太陽住建株式会社(以下、太陽住建)は社員8人の横浜市にある中小企業。彼らはSDGsコンパスに沿って事業を展開しその例として、横浜市の福祉避難所に太陽光パネルを設置し、横浜市が目標としている太陽光設置目標値の12.15%に貢献したことや、その設置段階においても障がいがある方でも、ない労働者と同賃金での雇用機会を達成したこと、さらに別事業では空き家を活用し地域の居場所づくりを提供するなどを実現しました。それらを2019年にSDGsレポートとして発信をしたところ、イギリスの投資会社から電話が来るという嬉しい悲鳴もあったそうです。企業がSDGsを本業ビジネスとして行うことで、SDGsという共通語を通し企業価値がさらに世界に認識されることを示唆されました。

これらの事例を踏まえて、最後に藤野様は参加する若者アンバサダーに、「皆様が世界に繋がって、いずれは世界のルールメーカーとして活躍していただきたい。」と温かい言葉で講義をしめられました。現在国連では未来を担う世代の声を組み込む動きが活発であり、そのうちの一つとして、Summit of the Future が開催されることや、その開催にあたりOur Future Agenda という青年の声が反映された将来への展望や計画をまとめた文書が作成されています。このような様々なグローバルな活動にぜひ日本の若者の声として参加し、未来を建設する一人者を藤野様は強く展望されました。

3.感想

本講義では地域と世界の繋がりを学べたことに加えて、藤野様の暖かい優しさや青年への期待にも感動をしました。講義後のQ&Aセッションでは、どのように現在の私が社会に貢献できるのかという質問に対し、藤野様は「自分の学んできた知見や経験、興味関心を活かして、その分野で活躍できる人になってもらいたい」との返答と姿勢から、アンバサダーへの今後の活動を誠実かつ真摯に支援してくださる暖かさを感じました。SDGsを日本に普及した第一線で活躍される方が、青年1人の声に寄り添い、励ましを下さる姿に感銘し、私も同じ持続可能な社会の実現という目標を見据える一人として、今後もさらに学び、自分の専門分野で活躍していきたいと思えた時間でした。

4.同世代に伝えたい点
  • 「地域社会」「ローカル」こそ、SDGsはチャンス
  • 地域の課題から取り組みながら世界の課題との結びつきを意識
  • 発信の重要性:SDGsコンパスという共通語で世界と繋がる!
  • 自分の専門性・持ち球を生かして事例づくりをする、他者と共同できるときは協力し合うことも大事!
  • 若者も未来を建設するルールメーカーに!

【講師】
藤野純一
DO!NUTS TOKYOアドバイザー
公益財団法人地球環境戦略研究機関 サステイナビリティ統合センター プログラムディレクター/上席研究員

【レポート執筆】
山根未來/第1期若者アンバサダー

英国バーミンガム大学大学院経済学修士課程修了。環境経済学を専攻。学部時代にフラダンスを通して、自然と人々の文化の密接なつながりを感じ、環境への関心を持つ。修士論文では原発に伴う福島県産農作物の風評被害の経済損失について分析した。


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