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DO!NUTS TOKYO事務局
2022年1月31日 13:30

学びシリーズ第12回「葛西臨海公園 生態系観察会」安西英明氏

2021年11月21日(日)に、葛西臨海公園にて「生態系観察会」を開催いたしました。
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若者アンバサダープログラムの学びシリーズ第12回目のレポートです。

「学びシリーズ」は、DO!NUTS TOKYO公式アンバサダーの皆さんに向けて行われるレクチャーであり、若者アンバサダーとして活動を行っていただく上で参考になると思われる知識の習得や、ご自身の考えをより深めていただくことを目的としています。

第12回目は、2021年11月21日(日)に、公益財団法人日本野鳥の会 主席研究員の安西英明氏を講師にお迎えし、葛西臨海公園にて「生態系観察会」を開催いたしました。

■レクチャーレポート

1.ポイント
  • 都会でも日々、野生生物が命のドラマが繰り広げている
  • 命目覚める春、命育つ夏、命つなぐ秋、命絶える冬
  • 野生の命は生き延びて当たり前ではない
  • バードウォッチングは初心者でも楽しい
2.観察会の概要

今回の生態系観察会では、東京都江戸川区にある葛西臨海公園を訪れました。公益財団法人 日本野鳥の会主席研究員の安西英明様にお越しいただき、東京都内に生息する野生の動植物を実際に観察して、それぞれの種の特徴や生態系全体の繋がりについてご説明していただきました。

人間は、「明日何を食べようか、週末はどこに行こうか」と先のことを考える余裕がありますが、鳥や虫、植物などの野生生物の場合はどうでしょうか。野生の動植物の場合、「命をつなぐ」こと自体がミッションであり、生き延びて当たり前ではない厳しい自然の中で命のドラマを繰り広げています。安西先生に、そうした野生の命を、「命目覚める春、命育つ夏、命つなぐ秋、命耐える冬」に分けてご説明していただきました。

野鳥園で野鳥を観察している様子

野鳥は春にペアとなって子育てをします。そして命が育つ夏、命をつなげる秋を越えてやってくるのが冬。次の春に再び新しい命をつなぐために、寒さや乾燥、食物不足の厳しい自然を生き抜かなければならないのです。春に生まれた鳥たちはたった1年間で成鳥に育ち、繁殖することができますが、それでも鳥たちが増えすぎないのは、それだけ生存率が低いということなのです。若い鳥が冬を越えて生きる確率は1割程度しかなく、野生で生き残ることがいかに難しいのか伺えます。

命の多くは他の命の食物になることで、生物多様性や持続可能性が成り立っているのです。 今回の生態系観察会で、多くの若者アンバサダーがバードウォッチングを初めて体験しました。野鳥を見分ける際に大きさの基準となる「ものさし鳥」やそれぞれの野鳥の体の特徴、鳴き声について安西先生に教えていただきました。いざ双眼鏡を片手に野鳥を探してみると、噴水や中央遠路、第二駐車場などの人工物が多いところでもスズメやハシブトガラス、ムクドリ、モズなどを見つけることができました。鳥類園に行くと、カルガモ、コガモ、カンムリカイツブリなどの水鳥、さらには食物連鎖の頂点に君臨するオオタカも観ることができました。葛西臨海公園で観察できるカルガモ以外の水鳥の多くは、ロシアなど北の国から越冬のためにやってきており、「命つなぐ秋」ならではの風景を目の当たりにしました。

カラスの説明をする安西先生と、それを聴く若者アンバサダーたち

生態系を観察するためには、鳥類だけでなく周囲の植物や虫に目を向けることも重要です。 木の実は小鳥に食べられることで種子が散布されるため、小鳥の主食である虫が減る季節に色づくこと、小鳥が丸呑みしやすいように小さく丸いことや、ジョロウグモの巣は鳥対策のために3層構造になっているということなど、鳥だけを見ていては気づかない自然のつながりについても知ることができた気がします。

3.感想

初めてのバードウォッチングは想像以上に楽しく、いい意味で想像していたものと違いました。一番の発見は、「バードウォッチングは鳥を発見して観察する」だけではないということです。発見できていない鳥や虫も、それらが奏でる音を頼りに特定できるのです。観察会当日は耳を澄ましてみて、聞こえてくる音の多さに驚きました。普段外にいるときは、人の話し声や車のエンジン音にばかり気が散り、周囲の音は雑音としてひとまとめに捉えていました。そうした雑音に嫌気がさして、イヤホンをして音楽を聴いていたり、気にしないように他の考え事をしたりする人は私だけではないと思います。 食事や住居に困らない便利な生活にいつのまにか慣れて、都会には人間しかいないと勝手に思い込んでいたような気がして、ハッとしました。生態系観察会を通して、自分の身近に自然があること、その自然の中で野生生物がたくましく支えあいながら生きていること、そして自分たち人間も自然の一部であることを少し実感できた気がします。

4.同世代に伝えたい点
  • 一度、バードウォッチングや自然観察会を体験してみよう
  • 街中でも巡る季節の中で、鳥、虫、植物など、野生の命のドラマ が展開していることに気づき、興味を持ってみよう
  • 外で聴こえる、鳥や虫が奏でる音に耳を澄ませよう
  • 人間の暮らしは自然の恵みの恩恵を受けていることを再認識しよう

【講師】
安西英明
公益財団法人日本野鳥の会 主席研究員
公益社団法人日本環境教育フォーラム 理事

バードウォッチングのスペシャリスト。1981年、日本で初めてのサンクチュアリ「ウトナイ湖サンクチュアリ」にチーフレンジャーとして赴任する。現在は主席研究員として、野鳥や自然観察、環境教育などをテーマに講演、ツアー講師などで全国や世界各地を巡る。解説を担当した野鳥図鑑は45万部以上発行。野鳥観察を動画で解説する「日本野鳥の会 安西先生と行く野鳥観察教室」(外部リンク)が公開中。

【レポート執筆】
多田野豪/第1期若者アンバサダー
英国バース大学大学院サステナビリティマネジメント修士課程修了。大学在学時は、サステナビリティ専⾨メディア「オルタナ」でのインターンシップやSOMPO環境財団主催「CSOラーニング制度」に参加。現在は企業の非財務情報開示を支援する企業に勤務。


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