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DO!NUTS TOKYO事務局
2022年2月1日 13:00

学びシリーズ第5回「生活者を巻き込む森づくり」鈴木敦子氏

2021年8月6日(金)に、「生活者を巻き込む森づくり」をテーマに第5回オンラインレクチャーを開催いたしました。
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若者アンバサダープログラムの学びシリーズ第5回目、今回はレクチャー動画と若者アンバサダーによるレポートをお届けします。

「学びシリーズ」は、DO!NUTS TOKYO公式アンバサダーの皆さんに向けて行われるレクチャーであり、若者アンバサダーとして活動を行っていただく上で参考になると思われる知識の習得や、ご自身の考えをより深めていただくことを目的としています。

第5回目は、2021年8月6日(金)に、サステナブルライフスタイルTOKYO実行委員会副委員長であり、株式会社環境ビジネスエージェンシー 代表取締役の鈴木敦子氏を講師にお迎えし、「生活者を巻き込む森づくり」をテーマに開催しました。
レクチャー後は振り返りとして、グループディスカッションを行い、活発な意見交換が行われました。

■レクチャー動画
■レクチャーレポート
1.ポイント
  • 日本の森林には人工林と天然林がある。
  • 森林としての多様性の有無によって、害虫や災害への強さが異なる。
  • 日本でも近年、森林の荒廃による生物多様性・気象災害への影響が見られる。
  • 生活者にとって結びつきの弱い分野でも、「体験」を通して関心や愛着を作り出すことができる。
  • 日本で森林保全に取り組む際、地域振興など直面する課題を含めて捉えることが重要。
2.サマリー

大多数の日本人が植林に関しては賛成の立場なのに、実際に森に足を運んだことのある人はごく少数なのが実態です。今回は日本の里山を生活者と繋がりを作り出すことで守る、プレゼントツリーの取り組みに関してお話を伺いました。

日本の国土の約67%を森林が占めており、そのうち約4割が人工林となっています。人工林は積極的に人の手を加えないと維持できませんが、木材価格低迷や林業従事者不足のため、この内3〜5割が放置されてしまっています。また成長の早い針葉樹単一で構成されているため、多様性がなく害虫や災害に弱いという性質も見られます。単一の樹林が一度に伐採されてしまい、植栽できずに皆伐放棄地として放置されると、森に戻るまでに約100年かかると言われており、土砂災害の危険が高くなります。

なお森林の内残りの約5割を占める天然林の中で、その6割が里山林と言われています。里山林もまた、人手をかけることが存続のために必要で、健全な里山が維持されなくなると、土砂災害や野生が持ち込むウイルスなどのリスクが高まってしまいます。こうして荒廃化が進む里山が増えてしまっています。

現在、日本の植物の25%が絶滅危惧種になっています。またドイツのNGOジャーマンウォッチによる台風や洪水などの気象災害の影響をランク付けした「世界気候リスク・インデックス」の2020年版では、日本はワースト1となっています。日本の森林が荒廃している現状は、このような植物多様性の視点や、気象災害への耐性の視点でも、大きな関連があると言われています。

このような日本の森林の状況を改善するために、伐期を迎えた人工林や経済林が成り立たない森は、地元植生の混合林(天然林)に戻していく必要があります。また人里に近い森=里山は積極的に手を入れることが重要です。

プレゼントツリーは都心部の生活者を主な対象に、「人生の記念日に樹を植える」ことを通して、国内外の森づくりが必要とされる土地の森林再生に繋げていくプロジェクトです。森林所有者、行政、地元の森林管理施業者、環境リレーションズ研究所の4者間で協定を結ぶことで、10年間の森林保育管理体制を担保しています。この取り組みは、持続可能なプロジェクトとなるために、ライフスタイルの中に大きな入り口を設けているのがポイントです。また自分にとって愛着のある樹を通して、長期間にわたる森との精神的な結びつきを作り出したり、行政を巻き込んだ運営を行なうことにより、地域振興にもつながる取り組みとなる狙いがあります。

今回お話を伺ったプレゼントツリーの森づくりプロジェクトのように、一部のステークホルダーだけでなく、多くの生活者を巻き込む仕組み作りは、環境問題に関連した取り組みを推進する上で大事なポイントとなります。

3.感想

日本には、豊かな里山などの森林が比較的残されているようなイメージを、多くの人は持っているかもしれません。しかし今回の講義を通して、現状は、多くの里山や人工林の荒廃が進んでおり、積極的な手入れが必要な状態であるという気づきがありました。

森づくりは数十年といった長期スパンで捉える必要がある取り組みだからこそ、生活者にとっては森との関わりを作る上での門戸を広げるような気軽なアプローチとしながら、行政側とは協定の締結などを通して強固な仕組みや長期的なリレーションを作ることが、持続的な森づくりを行なう上で必要であると学びました。

4.同世代に伝えたい点
  • 日本の森林も積極的に保全活動が必要な状態である。
  • 林業衰退や地域住民の森林への関心の低さなど、大きな要因は生活者一人一人にある。
  • 森林ビジネスは、環境問題のみでなく少子高齢化や地域の過疎化など、その他日本が抱える課題とセットで対応策を考えることができる。
  • 生活者を巻き込む体験の提供は、一人一人の自分ごと化を狙う上で有効なアプローチ。
  • 将来を担う子ども達やその親御さんなど、こういった体験の需要とのマッチングが可能か。

【講師】
鈴木敦子
サステナブルライフスタイルTOKYO実行委員会副委員長
株式会社環境ビジネスエージェンシー 代表取締役
認定NPO法人環境リレーションズ研究所 理事長

学習院大学法学部政治学科卒業。環境コンサルティング企業などを経て、2003年認定NPO法人環境リレーションズ研究所設立、2005年(株)環境ビジネスエージェンシー設立。環境分野において市民を巻き込んだ様々な活動を展開、イベント開催・運営実績多数。

【レポート執筆】
石垣利沙子/第1期若者アンバサダー

広告代理店に勤務したのち、現在は映像制作の会社で主に地球環境テーマの映像を制作。環境活動オープンコミュニティ「SpiralClub」や環境保護団体 weMORIにて活動中。


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