2025年12月11日に、若者アンバサダーによる林業アイディア提案会を実施しました。本提案会は、東京都での林業視察や、プラチナ構想ネットワークの皆さまとの継続的な対話を踏まえ、「若者が行列を作って就職したくなる林業採用」をテーマに、若者視点で考えたアイディアを発表し、オーディエンスの皆さまからコメント・質疑をいただく場として開催されました。
■レクチャーレポート
1.ポイント
・若者が林業を「知らない」こと自体が、最大の課題であるという共通認識
・「林業=木を切る仕事」ではなく、森に関わる生き方として捉える視点が評価
・アスリート、教育、インターン、SNSなど、入口を増やす提案に共感の声
・実装に向けては「スケール」「主体」「発信の仕組み」など現実的な問いも提示
2.サマリー
今回のアイディア提案会では、林業の人材不足という課題に対し、「なぜ若者は林業に関心を持ちにくいのか」という入口の部分から問い直す提案を行いました。提案後のコメントや質疑を通じて、アイディアの方向性そのものに共感が集まると同時に、実現に向けた具体的な視点が多く共有されました。
◆ 提案1:アスリート×林業(第4期アンバサダー:島田夢)
身体性が求められる林業の特性に着目し、アスリートやセミプロ選手、引退後のセカンドキャリア層が森に関わる新たな入口を提案しました。競技と両立できる働き方や、林業ならではの身体感覚を強みとして捉える視点が特徴です。
◆ 提案2:中高生向け教育×林業(第4期アンバサダー:島田夢)
若者が林業を「知らない」こと自体を課題と捉え、中高生の探究学習などを通じて、森や林業を知る機会を早い段階からつくる提案です。職業選択以前に、森の価値や役割を伝えることを重視しました。
◆ 提案3:発信型インターン×林業(第2期アンバサダー:佐々原 悠馬)
林業の現場体験とSNS発信を組み合わせることで、知られていない林業を可視化する提案です。学生が使うインターンプラットフォームやSNSを活用し、体験そのものをコンテンツとして広げていくことを狙いとしています。
◆ 提案4:森林ベンチャー×林業(第2期アンバサダー:佐々原 悠馬)
起業や地域活動、副業などを通じて、結果的に森や林業に関わる人を増やす仕組みを提案しました。林業に直接就職しなくても、森と関わり続けられる多様な関与の形を提示しています。
これらの提案に対し、さまざまな立場から率直なコメントが寄せられました。
プラチナ構想ネットワーク様からは、以下のようなコメントが寄せられました。
・林業は身体性が求められる仕事
・アスリートや運動神経の良い人材は、林業と非常に相性が良い
・大規模化や効率化といった直球の改革だけでは、人との縁は広がらない
・今回のような柔らかい視点からの提案は非常にありがたい
これらの声から、若者の視点で提示した提案の方向性が、現場が抱える実際の課題認識と重なっていることがうかがえました。
また、インターンや情報発信に関しては
・林業インターンは学生にとって珍しく、就職活動においても価値のある経験になる
・学生が日常的に利用するプラットフォームに掲載するだけでも、林業への入口は大きく変わる
提案に対するこうしたコメントを通じて、関心の入口づくりと見せ方の工夫が、今後の林業人材確保において重要な鍵であることが改めて共有されました。
また、行政の立場からも、提案の整理や考え方に対して評価の声が寄せられました。
・林業=木を切る仕事というイメージから、森に関わる生き方へと捉え直す整理がとても分かりやすい
・最初から林業に入ってもらうのではなく、結果的に森に関わる人を増やしていくという考え方は重要である
これらのコメントから、林業を職業として限定的に捉えるのではなく、暮らしや関わり方の延長線上に森を位置づける視点が、行政の課題意識とも重なっていることが示されました。
3.提案会を通して感じたこと
今回の提案会を通して強く感じたのは、若者のアイディアが対話のきっかけとして機能していたという点です。オーディエンスの皆さまは、提案を一方的に評価するのではなく、「どうすれば一緒に進められるか」という視点でコメントを返してくださいました。また、「知らないからこそ出てくる視点」や「若者ならではの感覚」が、林業という分野に新しい風を吹き込む可能性があることも実感しました。
4.同世代に伝えたいこと
正直、林業はあまり身近な仕事ではありません。私自身も、視察や対話に参加するまで、深く考えたことはありませんでした。しかし、今回の提案会を通して、「知らないことが一番の壁であり、知るきっかけさえあれば、見え方は大きく変わる」ということを強く感じました。いきなり就職を考えなくてもよくて、まずは森に行ってみる、話を聞いてみる、SNSで見てみる。そんな小さな入口が増えることで、林業や森は、もっと身近な存在になると思います。
コメント

<アルファフォーラム小林様>
森林林業へ興味を持ってもらうためのアイディア、とても参考になります。このような提案や実践活動を通して、関与者を増やしていくことはとても重要と考えます。
一方で、生活の基礎となる一次産業、特に林業は将来性のある安定した雇用と、格好良い業種として再スタートを切る必要があります。
多くの森林(人工林)が伐期を迎えています。効率的な素材生産ができれば宝の山です。皆がやりたがらない仕事だからこそ、開発・改善をしながら切磋琢磨の競争を復活させれば我が国の基盤産業に位置付けると考えています。
一般的にどこかの企業に属して、ルールを逸脱しなければお給料はもらえる・・という考え方から、「社会の、だれかのお役立ちをするから給料がもらえる、増える・・」の実感を得ていただきたいです。本当にその地域にとって「なくてはならない仕事」なのか?を若者に再考してほしいと思います。
頑張らなくて良いです。仕事をしているフリをすることも無駄です。目的主義、結果主義で考え続けていただければと思います。
ありがとうございました。

<プラチナ構想ネットワーク鎌形様>
森林林業に関心を持っていただき、現在の森林林業の課題を十分に理解していただいた上での具体的なアイディアありがとうございました。非常に参考になるアイディアや我々が考えていたことと同様の提案もあり、心強く感じました。
折角関心を持っていただいたこともあり、今後の皆様の活躍の中で、森林林業に対して直接でなくとも、継続的に関心を持っていただき、機会があれば何らかかかわっていただければと思います。

○関連リンク
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プラチナ構想ネットワーク×若者アンバサダー 共創対話
東京都の林業視察レポート

【レポート執筆】
島田夢さん/ 第4期若者アンバサダー
青山学院大学4年。社会課題や地域再生への関心から、デジタルと社会・地域の関係を軸に活動。大学ではDCと地域受容の関係を研究。学外では福島県の地域創生や環境再生に向けて取り組む。